歴史・事件系動画を制作するときの注意点|著作権・情報確認・表現方法を解説

歴史・事件系動画を制作するときは、情報の正確性だけでなく、著作権、写真や映像の使用許諾、被害者や遺族への配慮も必要です。AIで調べた情報の確認方法や、参考リンク・新聞記事・写真・再現映像を使用するときの注意点、公開後の情報更新への対応を解説します。

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歴史・事件系動画を制作するときの注意点|著作権・情報確認・表現方法を解説

歴史・事件系動画を制作するときは、情報の正確性だけでなく、著作権、写真や映像の使用許諾、被害者や遺族への配慮も必要です。AIで調べた情報の確認方法や、参考リンク・新聞記事・写真・再現映像を使用するときの注意点、公開後の情報更新への対応を解説します。

歴史資料や古い写真を確認しながら歴史・事件系動画を編集する画面

歴史上の出来事や実際に起きた事件を扱う動画は、視聴者の関心を集めやすく、教育や記録を目的としたコンテンツとしても活用できます。

一方で、年代、人物名、事件の経緯などを誤って伝えると、間違った情報を広めてしまう可能性があります。事件を取り上げる場合は、被害者や遺族、関係者の名誉やプライバシーにも配慮しなければなりません。

新聞記事、書籍、写真、ニュース映像などを参考にする場合も、出典や参考リンクを掲載すれば自由に使用できるとは限りません。別のWebサイトを紹介することと、掲載されている文章や写真を動画内で使用することは、分けて考える必要があります。

また、AIは情報収集や台本の構成に活用できますが、誤った年代や人物名、実在しない資料などを、正しい情報のように回答することがあります。AIの回答をそのまま使用せず、公的機関や信頼できる資料で確認することが重要です。

公開時点では正しかった内容も、新たな資料の発見、研究の進展、裁判の判決や再審などによって変わる可能性があります。歴史・事件系動画では、公開するまでの確認だけでなく、公開後の情報管理も必要です。

この記事では、歴史・事件系動画を制作するときの情報確認、著作権、使用許諾、表現上の配慮、AIの使い方、公開後の対応について解説します。

この記事で分かること

✓ 歴史上の出来事と実際の事件を扱う際の違い
✓ 事実と推測を分けて伝える方法
✓ AIで調べた情報をそのまま使用する危険性
✓ 年代・人物名・判決内容などを確認する方法
✓ 被害者・遺族・関係者へ配慮すべきこと
✓ 実名・顔写真・住所などを掲載するときの注意点
✓ 参考リンクを掲載するときに許諾が必要か
✓ 新聞記事・写真・ニュース映像を使用するときの著作権
✓ 引用できる範囲と許諾を取るべきケース
✓ AIで再現映像や音声を作成するときの注意点
✓ 公開後に情報が変わった場合の確認・訂正方法

目次

1.歴史・事件系動画を制作する前に考えること
2.事実と推測を分けて情報を整理する
3.AIで調べた情報をそのまま使用しない
4.実名・顔写真・個人情報を扱うときの注意点
5.参考リンク・写真・新聞記事・映像を使用する方法
6.被害者・遺族・関係者へ配慮した表現
7.YouTubeのルールと刺激の強い表現
8.AIによる再現映像・画像・音声を使用するときの注意点
9.ナレーション・BGM・テロップ・サムネイルの作り方
10.公開後も情報が変わっていないか確認する
11.歴史・事件系動画を公開する前の確認項目
12.まとめ

1.歴史・事件系動画を制作する前に考えること

歴史上の出来事や実際に起きた事件は、事実をもとに扱う題材です。面白さや分かりやすさだけを優先せず、情報の正確性と関係者への配慮を前提に制作する必要があります。

同じ歴史・事件系動画でも、扱う時代や内容によって注意点は異なります。

歴史上の出来事を扱う場合

過去の戦争、人物、文化、建造物などを取り上げる場合は、複数の資料を確認しましょう。

歴史については、資料の発見や研究の進展により、以前まで定説とされていた内容が見直されることがあります。また、同じ出来事でも、資料や研究者によって解釈が異なる場合があります。

✓ いつ作成された資料なのか
✓ 誰が作成・発表した情報なのか
✓ 現在も支持されている内容なのか
✓ 事実と研究者の見解が区別されているか
✓ 異なる説が存在していないか

一つのWebサイトや書籍だけで判断せず、博物館、図書館、公文書館、大学、自治体などが公開している情報も確認します。

異なる説がある場合は、一つを断定するのではなく、「〇〇とする説があります」「資料によって見解が分かれています」などと説明しましょう。

実際の事件を扱う場合

事件を取り上げる場合は、情報の正確性に加えて、被害者、遺族、容疑者、被告人、周辺住民などへの影響も考える必要があります。

特に、捜査中の事件や裁判が続いている事件では、公開後に状況が変わる可能性があります。

✓ 逮捕された段階なのか
✓ 起訴されているのか
✓ 裁判中なのか
✓ 判決が確定しているのか
✓ 再審や控訴の動きがないか
✓ 報道後に情報が訂正されていないか

逮捕や起訴は、有罪判決が確定したことを意味するものではありません。「容疑者」「被告人」「受刑者」などの呼び方も、公開時点の状況に合わせて使用します。

古い事件であっても、被害者や遺族、関係者が現在も生活している可能性があります。すでに報道されている情報だからといって、無制限に再掲載してよいとは限りません。

動画の目的と対象を決める

制作を始める前に、誰へ何を伝える動画なのかを決めましょう。

✓ 歴史を分かりやすく紹介する
✓ 地域に残る出来事を記録する
✓ 事件の経緯や判決を整理する
✓ 防災や安全対策に役立てる
✓ 資料や研究結果を紹介する
✓ 社会的な問題について考えるきっかけを作る

教育や記録を目的とする動画と、視聴者を驚かせることを目的とする動画では、同じ題材でも表現方法が異なります。

再生回数を増やすために事実を誇張したり、関係者を一方的に批判したりせず、動画の目的に必要な範囲で情報を扱うことが大切です。

2.事実と推測を分けて情報を整理する

歴史・事件系動画では、確認できた事実と、推測や解釈を分けて伝えることが重要です。

複数のWebサイトに同じ内容が書かれていても、元をたどると一つの記事や投稿を引用しているだけの場合があります。掲載されているサイトの数だけで正しいと判断せず、情報の出どころまで確認しましょう。

信頼できる情報源を確認する

調査では、できるだけ公的機関や一次資料に近い情報を確認します。

✓ 国や自治体が公開している資料
✓ 裁判所が公開している裁判例
✓ 警察や関係機関による発表
✓ 国立公文書館などが所蔵する公文書
✓ 博物館や図書館が公開している資料
✓ 大学や研究機関による論文・研究成果
✓ 当時の新聞、記録、手紙、写真
✓ 信頼できる報道機関の記事

国立国会図書館の「リサーチ・ナビ」では、テーマや資料の種類に応じた調べ方や、参考になる資料・データベースが紹介されています。

参考:リサーチ・ナビ|国立国会図書館

国立公文書館デジタルアーカイブでは、国立公文書館が所蔵する歴史公文書などの目録や画像を検索できます。

参考:国立公文書館デジタルアーカイブ

ただし、公的機関のデジタルアーカイブで閲覧できる写真や資料であっても、動画へ自由に転載できるとは限りません。利用する場合は、それぞれの二次利用条件を確認する必要があります。

事件名だけで検索しない

事件について調べる際に、事件名だけで検索すると、同じ内容の記事や個人の考察が多く表示されることがあります。

次のように検索する言葉を変えながら、情報を確認しましょう。

✓ 事件名と発生年月日
✓ 事件名と発生場所
✓ 事件名と裁判所名
✓ 事件名と判決日
✓ 人物名と所属・肩書
✓ 出来事の名称と公文書
✓ 出来事の名称と論文・研究機関

裁判の内容を扱う場合は、報道記事だけでなく、裁判所が公開している裁判例も確認します。

参考:裁判例検索|裁判所

ただし、裁判所のWebサイトにはすべての判決が掲載されているわけではありません。検索して見つからない場合も、「裁判例が存在しない」とは断定しないようにしましょう。

情報を確認した日付を記録する

Web上の情報は、公開後に修正・削除されることがあります。

台本を作成するときは、次の内容を記録しておくと、後から確認しやすくなります。

✓ ページのタイトル
✓ 公開した機関・運営者
✓ ページのURL
✓ 公開日または更新日
✓ 情報を確認した日
✓ 参考にした箇所
✓ 画像や資料の利用条件
✓ 使用許諾を取った場合の連絡記録

URLだけを保存すると、ページが削除された際に何を参考にしたのか分からなくなる可能性があります。資料名や確認日も一緒に残しましょう。

事実と見解で表現を変える

資料で確認できた事実と、研究者、報道機関、制作者の見解は、同じ言い方をしないようにします。

例えば、資料で確認できる内容は「記録されています」「判決文では〇〇とされています」と説明できます。

一方、見解や推測を紹介する場合は、次のように表現します。

✓ 〇〇とする説があります
✓ 研究者の間でも見解が分かれています
✓ 〇〇であった可能性が指摘されています
✓ 報道では〇〇と伝えられています
✓ 現時点では確認できていません

推測を断定的に表現すると、視聴者が事実として受け取る可能性があります。動画を分かりやすくするための説明であっても、確認できていない内容を補って作らないことが大切です。

3.AIで調べた情報をそのまま使用しない

生成AIは、歴史・事件系動画の情報整理や構成案の作成に活用できます。

しかし、AIの回答には誤った情報が含まれることがあります。文章が自然で詳しく書かれていても、内容が正しいとは限りません。

AIを検索サイトや公的な資料の代わりにせず、調査を補助する道具として使用しましょう。

AIは誤った情報を事実のように回答することがある

AIは、質問に対する情報が不足している場合でも、文章として自然につながる内容を作成することがあります。

歴史・事件系の内容では、次のような誤りに注意が必要です。

✓ 年代や日付が間違っている
✓ 同姓同名の人物を混同している
✓ 複数の事件を一つの事件として説明している
✓ 実在しない発言や証言を作っている
✓ 裁判の判決内容を誤っている
✓ 容疑者と有罪判決を受けた人を混同している
✓ 実在しない書籍、論文、Webページを出典として挙げている
✓ 当時は存在しなかった制度や言葉を使用している
✓ 海外の事件名や人物名を誤って翻訳している

AIが具体的な書籍名、論文名、URLを提示した場合も、その資料が実在するか確認しましょう。

資料が実在していても、AIが説明した内容と、実際に書かれている内容が一致しているとは限りません。

AIの回答は別の資料で確認する

AIで作成した内容を台本へ使用する場合は、人名、地名、年代、人数、判決、制度などを項目ごとに確認します。

✓ 公的機関のWebサイトを確認する
✓ 裁判所が公開している裁判例を確認する
✓ 博物館や図書館の資料を確認する
✓ 書籍の著者・出版社・発行年を確認する
✓ 報道機関の記事を複数確認する
✓ AIが示したURLを実際に開いて読む
✓ 公開日と更新日を確認する

AIに「この情報は正しいですか」と再度質問するだけでは、事実確認にはなりません。同じ誤った内容を、表現を変えて回答する可能性があるためです。

AIが作った文章にも責任を持つ

AIが作成した文章を動画へ使用した場合も、公開した内容に対する責任がなくなるわけではありません。

「AIが回答した内容を使用しただけ」という理由で、誤情報や不適切な表現が許されるわけではないため、公開前に制作者が内容を確認します。

特に、実在する人物や現在も関係者がいる事件については、事実と異なる内容によって名誉やプライバシーを傷つける可能性があります。

情報が確認できない部分は、AIに推測させて補うのではなく、動画内で扱わないことも選択肢です。

AIは構成や確認項目の整理に活用する

AIは、事実そのものを決めるためではなく、制作作業を補助する目的で使用するとよいでしょう。

✓ 動画の構成案を作る
✓ 長い資料の確認項目を整理する
✓ 台本の文章を読みやすく整える
✓ 難しい言葉の言い換え案を出す
✓ 調査が必要な項目を一覧にする
✓ 公開前の確認表を作る
✓ タイトルや見出しの案を出す

AIによる動画編集でできることや、使用するときの注意点については、関連記事でも紹介しています。

関連記事:AIで動画編集はどこまでできる?プロへ依頼するメリット・デメリット

AIを使用したかどうかにかかわらず、歴史・事件系動画では、最終的な事実確認を人が行うことが重要です。

4.実名・顔写真・個人情報を扱うときの注意点

事件に関する報道や資料には、実名、顔写真、年齢、職業、住所などが掲載されている場合があります。

すでに新聞やインターネットで公開されている情報であっても、動画へ無制限に再掲載してよいとは限りません。動画で改めて取り上げることにより、情報が広く拡散されたり、検索結果に長期間残ったりする可能性があります。

公開されている情報も個人情報に含まれる

氏名、住所、生年月日、顔画像など、特定の個人を識別できる情報は個人情報に該当する場合があります。

個人情報保護委員会では、新聞やインターネットなどですでに公表されている情報も、個人情報保護法の対象になると説明しています。

参考:新聞やインターネットなどで既に公表されている個人情報について|個人情報保護委員会

「ほかのサイトにも掲載されている」「SNSで見つけた」という理由だけで、自由に使用できるとは判断しないようにしましょう。

実名を出す必要があるか考える

実名が報道されている事件でも、動画の目的を達成するために、必ず実名を出す必要があるとは限りません。

✓ 実名を出さなければ説明できない内容か
✓ 公共性や社会的な意義があるか
✓ 事件と直接関係のない人まで特定されないか
✓ 現在の生活に影響を与える可能性がないか
✓ 同姓同名の別人と混同されないか
✓ 情報が訂正・変更されていないか

実名を出す必要性が低い場合は、「当時の関係者」「近隣住民」「被害を受けた人」など、個人を特定しない表現も検討します。

被害者や遺族の実名については、報道されている場合でも、動画内で繰り返し表示する必要があるか慎重に判断しましょう。

容疑者と有罪判決を受けた人を混同しない

事件動画では、人物の立場を正確に表現する必要があります。

✓ 逮捕された人
✓ 容疑者として報道された人
✓ 起訴された被告人
✓ 有罪判決を受けた人
✓ 判決が確定した人
✓ 無罪判決を受けた人
✓ 再審が認められた人

逮捕や起訴は、有罪判決が確定したことを意味しません。

過去の記事を参考にする場合は、その記事が公開された後に判決、控訴、再審、訂正などがなかったか確認します。古い報道時点の呼び方を、そのまま現在の動画へ使用しないようにしましょう。

顔写真は出典を書くだけでは使用できない

顔写真には、撮影した人や報道機関などが持つ著作権が関係します。また、写っている本人の肖像やプライバシーへの配慮も必要です。

写真の下に撮影者名や出典URLを記載しても、それだけで使用許諾を得たことにはなりません。

✓ 写真を撮影した人は誰か
✓ 写真の権利を管理しているのは誰か
✓ 動画への使用が認められているか
✓ 商用利用やYouTubeへの掲載が可能か
✓ 加工や切り抜きが認められているか
✓ 使用時に必要なクレジット表記があるか

使用条件を確認できない写真は使わず、権利者へ問い合わせるか、別の方法で表現しましょう。

写真や新聞記事などの使用許諾については、第5章で詳しく解説します。

住所や家族の情報を必要以上に出さない

事件が起きた場所を説明するときも、詳しい住所を表示する必要があるか考えます。

番地、住宅の外観、表札、車のナンバー、周辺の目印などを組み合わせると、現在の居住者や家族を特定できる場合があります。

✓ 番地を省略する
✓ 地図の表示範囲を広くする
✓ 住宅や表札へモザイクを入れる
✓ 車のナンバーを隠す
✓ 家族や近隣住民の氏名を出さない
✓ 現在の居住者と事件を結び付けない

モザイクを入れていても、音声、服装、勤務先、周辺の風景などから人物が特定される可能性があります。画面だけでなく、ナレーションやテロップに含まれる情報も確認しましょう。

未成年者の情報は特に慎重に扱う

被害者、関係者、目撃者などに未成年者が含まれる場合は、特に慎重な判断が必要です。

実名を伏せていても、学校名、学年、住んでいる地域、家族構成、顔写真などを組み合わせると、本人が特定される可能性があります。

動画の内容に必要のない情報は掲載せず、匿名化した場合も特定につながる情報が残っていないか確認します。

法務省も、インターネット上でのプライバシー情報の無断公開や、個人への中傷などについて注意を呼びかけています。

参考:インターネット上の人権侵害をなくしましょう|法務省

判断が難しい場合は、公開前に専門家へ相談することも検討しましょう。

5.参考リンク・写真・新聞記事・映像を使用する方法

歴史・事件系動画を制作する際は、Webサイト、新聞記事、書籍、写真、ニュース映像などを参考にすることがあります。

ただし、参考にしたページのURLを紹介することと、そのページに掲載されている文章や画像を動画内で使用することは同じではありません。

「出典を書けば使用できる」「参考リンクを載せれば許諾は必要ない」とは限らないため、利用方法に合わせて確認しましょう。

参考リンクの掲載は原則として許諾を取らずにできる

Webサイトを参考資料として紹介し、概要欄などに通常のリンクを掲載するだけであれば、一般的にはリンク先の文章や写真を複製するものではないため、原則として個別の許諾を取らずに掲載できます。

ただし、次の点には注意が必要です。

✓ リンク先の利用規約を確認する
✓ 違法に掲載された可能性があるページへリンクしない
✓ 公式サイトと誤解させる表示をしない
✓ リンク先が動画を推奨・監修したように見せない
✓ ページのタイトルや運営機関を正確に記載する
✓ URLが現在も有効か公開前に確認する
✓ 個人ブログやSNSを情報の根拠にする場合は内容を慎重に確認する

リンク先の文章や画像をコピーせず、「詳しい資料はこちら」のようにページを紹介するだけの場合と、コンテンツ自体を使用する場合を分けて考えましょう。

出典を記載しても転載できるとは限らない

写真、記事本文、書籍のページ、ニュース映像などには著作権があります。

動画内や概要欄に出典を記載しても、それだけで著作権者から使用許諾を得たことにはなりません。

✓ Webサイトの写真を保存して動画に表示する
✓ 新聞記事を撮影・スキャンして画面に表示する
✓ ニュース映像を録画して動画へ挿入する
✓ 書籍のページを長時間映す
✓ SNSへ投稿された写真をダウンロードして使用する
✓ 他人が制作した地図や年表をそのまま使用する

このような使用をする場合は、利用規約で認められているか、引用の条件を満たしているか、権利者から許諾を得ているかを確認します。

文化庁では、著作権の基本的な考え方や、他人が制作したコンテンツを利用するときの注意点を紹介しています。

参考:著作権について知っておきたい大切なこと|文化庁

引用として使用する場合の条件を確認する

他人の文章、写真、映像などは、報道、批評、研究などの目的で、著作権法上の条件を満たす範囲で引用できる場合があります。

引用として使用する場合は、主に次の点を確認します。

✓ すでに公表されている著作物である
✓ 引用する必要性がある
✓ 自分の説明が中心で、引用部分が補助になっている
✓ 自分の説明と引用部分が明確に区別されている
✓ 必要な範囲を超えて使用していない
✓ 出典を明示している
✓ 著作者の意図を損なうような変更をしていない

例えば、新聞記事の一部を示しながら報道内容の違いを解説する場合は、引用する必要性が認められる可能性があります。

一方、古い写真を背景として長時間表示したり、ニュース映像を動画の見栄えを良くする目的で使用したりする場合は、自分の説明を補う引用とは判断されない可能性があります。

文化庁が紹介している引用の条件も確認しましょう。

参考:著作権解説集「引用」|文化庁

引用に該当するか判断が難しい場合は、無理に使用せず、権利者から許諾を得る方法を検討します。

写真や新聞記事は権利者を確認する

写真に写っている人と、写真の著作権を持っている人は、同じとは限りません。

例えば、報道機関のWebサイトに掲載されている写真では、撮影したカメラマンや報道機関が権利を管理している場合があります。写真に写っている本人から許可を得ても、写真の著作権に関する許諾が別に必要になる可能性があります。

新聞記事やニュース映像も、事件が事実だから自由に使用できるわけではありません。事件の発生日や人数などの事実と、記者が作成した文章、撮影した写真、編集された映像は分けて考えます。

事実を自分の言葉でまとめることと、記事本文や映像をそのまま転載することは異なります。

デジタルアーカイブは資料ごとの利用条件を確認する

国立国会図書館や国立公文書館などのデジタルアーカイブでは、歴史資料や画像をオンラインで閲覧できます。

ただし、閲覧できることと、YouTube動画へ自由に使用できることは同じではありません。

資料によって、次の条件が異なります。

✓ 申請せずに使用できる
✓ 出典の記載が必要
✓ 商用利用も認められている
✓ 加工の有無を記載する必要がある
✓ 第三者が著作権を持っている
✓ 使用前に申請や許諾が必要
✓ 肖像権や所有権などを別に確認する必要がある

国立国会図書館では、同館が著作権を持つコンテンツは、基本的に出典を記載すれば申請せず転載できると案内しています。一方、第三者が著作権を持つコンテンツや、個別の利用条件が設定されている資料は、別途確認が必要です。

参考:国立国会図書館ウェブサイトからのコンテンツの転載

国立公文書館デジタルアーカイブにも、提供されている画像や目録情報の二次利用条件が掲載されています。

参考:データの二次利用|国立公文書館デジタルアーカイブ

使用したい資料ごとに、権利表示と利用条件を確認しましょう。

許諾が必要な場合は使用方法を具体的に伝える

引用の条件を満たさず、利用規約でも使用が認められていない場合は、写真、記事、映像などの権利を管理している人や団体へ問い合わせます。

許諾を依頼するときは、次の内容を伝えましょう。

✓ 使用したい写真・記事・映像
✓ 制作する動画の内容
✓ 使用する場面と長さ
✓ YouTubeなどの公開先
✓ 収益化や広告利用の有無
✓ 加工、切り抜き、テロップ追加の有無
✓ 公開予定日と公開期間
✓ 希望するクレジット表記
✓ 使用料の有無

許諾を得た場合は、メールや書面を保存します。口頭で確認した場合も、許諾された範囲を後から確認できるよう、内容を記録しておくと安心です。

別の動画、広告、SNSなどでも同じ素材を使用する場合は、最初に得た許諾の範囲に含まれているか確認します。

判断できない素材は使用しない

古い写真や映像は、撮影者や権利者が分からない場合があります。

「古いから著作権が切れている」「インターネット上にあるから使える」と自己判断せず、著作者、撮影時期、公表時期、利用条件などを確認しましょう。

権利関係を確認できない場合は、次の方法も検討できます。

✓ 自社で撮影した映像を使用する
✓ 利用条件が明確な素材を使用する
✓ 自社で地図や年表を作成する
✓ 写真を使わずナレーションとテロップで説明する
✓ 権利者へ問い合わせる
✓ 必要に応じて専門家へ相談する

安全に使用できるか判断できない素材を無理に使わないことも、歴史・事件系動画を制作するうえで重要です。

6.被害者・遺族・関係者へ配慮した表現

事件を扱う動画では、事実関係だけでなく、被害者、遺族、目撃者、近隣住民などへの影響を考える必要があります。

動画の公開によって、事件を知らなかった人にも情報が広がります。古い事件であっても、関係者にとっては過去の出来事として整理できているとは限りません。

視聴者の興味を引くことよりも、人の被害や苦しみを扱っていることを忘れないようにしましょう。

被害の原因を被害者へ求めない

事件の経緯を説明するときに、被害者の行動、職業、交友関係、服装などを必要以上に取り上げると、被害者にも責任があったように受け取られる可能性があります。

✓ 「なぜ逃げなかったのか」と責める
✓ 被害者の行動が事件を招いたように説明する
✓ 確認されていない交友関係を紹介する
✓ 過去の失敗や私生活を事件と結び付ける
✓ SNSの投稿から性格や考え方を決めつける
✓ 関係者のうわさを事実として紹介する

事件と直接関係のない情報は、動画へ入れないことも検討しましょう。

遺族や関係者の気持ちを決めつけない

遺族や関係者がどのように感じているかは、本人の発言や公表された資料で確認できない限り、制作者には分かりません。

「今も深い悲しみに包まれています」「きっと犯人を許せないでしょう」など、感情を推測してナレーションを作らないようにします。

本人の発言を紹介する場合も、一部分だけを切り取り、意図と異なる意味に見せないようにしましょう。

手記、会見での発言、SNSの投稿などにも著作権や利用条件が関係する場合があります。発言が公開されていることと、動画内で自由に使用できることは別に考えます。

必要以上に被害の様子を再現しない

事件の状況を分かりやすくするために、イラスト、CG、俳優、AI画像などで再現する場合があります。

しかし、暴力行為や被害の様子を細かく再現すると、被害者や遺族を傷つけたり、視聴者へ強い不快感を与えたりする可能性があります。

✓ 流血や負傷を強調しない
✓ 被害者の表情や苦痛を想像で作らない
✓ 犯行の手順を必要以上に詳しく見せない
✓ 実際の被害写真を演出目的で使用しない
✓ 効果音で暴力を強調しない
✓ 同じ映像を繰り返し表示しない

事件の経緯を伝えるために必要な場合も、地図、時系列、人物関係図、ナレーションなど、刺激の少ない方法で説明できないか検討しましょう。

被害者の写真をサムネイルへ安易に使用しない

動画内で使用する必要がある写真でも、サムネイルへの掲載は別に判断した方がよいでしょう。

サムネイルは動画を見ていない人にも表示されます。被害者の顔写真と刺激的な言葉を組み合わせると、本人の尊厳を損なったり、事件を娯楽として扱っているように見えたりする可能性があります。

事件現場、凶器を連想させる物、流血を表す加工なども、必要性を確認してから使用します。

二次的被害を生まないようにする

事件後に、周囲の配慮を欠いた言動、偏見、インターネット上の誹謗中傷などによって、被害者や遺族がさらに傷つくことがあります。

警察庁では、このような被害を「二次的被害」と説明しています。

参考:犯罪被害にあうと|警察庁

動画の内容だけでなく、タイトル、サムネイル、概要欄、SNSでの告知文なども確認しましょう。

✓ 被害を面白がる表現になっていないか
✓ 被害者を責める内容になっていないか
✓ 関係者への攻撃を促していないか
✓ 未確認の情報を拡散していないか
✓ 現在の住所や勤務先を特定できないか
✓ 遺族の発言を都合よく切り取っていないか

「閲覧注意」「衝撃の真相」などの言葉も、内容に必要か検討します。

コメント欄も公開後に確認する

動画の内容に問題がなくても、コメント欄で被害者への中傷、個人情報の投稿、犯人だと決めつける書き込みなどが行われる可能性があります。

✓ 誹謗中傷を削除する
✓ 個人情報が書かれたコメントを削除する
✓ 未確認の人物名や住所の投稿を削除する
✓ 差別的な書き込みを削除する
✓ 必要に応じて特定の言葉を非表示にする
✓ 管理が難しい場合はコメント欄を停止する

公開後もコメント欄を放置せず、定期的に確認しましょう。

関係者への攻撃につながるコメントが増えた場合は、固定コメントで注意を促すだけでなく、コメントの非表示や停止も検討します。

公開する意義と与える影響を比較する

歴史・事件系動画には、出来事を記録し、社会的な問題を伝える役割があります。

一方で、公開によって誰かの生活や心情へ大きな負担を与える可能性がある場合は、表現を変更したり、情報の一部を扱わなかったりする判断も必要です。

公開できる情報をすべて入れるのではなく、動画の目的に必要な情報だけを選ぶことが大切です。

7.YouTubeのルールと刺激の強い表現

歴史・事件系動画をYouTubeへ投稿する場合は、著作権やプライバシーだけでなく、YouTubeのコミュニティガイドラインも確認する必要があります。

教育や記録を目的とした動画であっても、暴力的・残虐な映像を自由に掲載できるわけではありません。動画が削除されなくても、年齢制限や収益化制限の対象になる場合があります。

暴力的で刺激の強い映像を避ける

YouTubeでは、視聴者へ衝撃や不快感を与えることを目的とした、暴力的または残虐なコンテンツが禁止されています。

歴史上の戦争、事件、事故などを扱う場合は、次のような映像や画像に注意しましょう。

✓ 遺体や重傷者がはっきり映っている
✓ 流血や傷口を長時間表示している
✓ 暴力行為を繰り返し再生している
✓ 犯行の瞬間だけを切り抜いている
✓ 被害者の苦痛を強調している
✓ 刺激の強い場面をサムネイルに使用している

必要な場面であっても、表示時間を短くする、画面をぼかす、静止画や図解へ置き換えるなどの方法を検討します。

参考:暴力的で刺激の強いコンテンツに関するポリシー|YouTube公式ヘルプ

教育・ドキュメンタリー目的でも自動的に認められるわけではない

YouTubeでは、教育、ドキュメンタリー、科学、芸術の文脈がある場合、例外としてコンテンツが認められることがあります。

ただし、「歴史を解説する動画です」「教育目的です」とタイトルや概要欄へ書くだけでは十分とは限りません。

刺激の強い映像を使用する場合は、動画内のナレーションや画面で、次の内容を説明します。

✓ いつ起きた出来事なのか
✓ なぜその映像を見せる必要があるのか
✓ 何を伝えるために使用しているのか
✓ どのような歴史的・社会的背景があるのか
✓ 実写・再現映像・AI生成画像のどれに当たるのか

説明があっても、内容によっては削除や年齢制限の対象になる可能性があります。

タイトル・サムネイル・概要欄も確認する

YouTubeのポリシーは、動画本編だけでなく、タイトル、サムネイル、概要欄、コメント、外部リンクなどにも適用されます。

「閲覧注意」「衝撃映像」「残酷すぎる結末」などの言葉も、視聴者を必要以上にあおる表現になっていないか確認しましょう。

サムネイルでは、次のような画像を避けます。

✓ 遺体や負傷者が写っている写真
✓ 血液や傷口を強調した画像
✓ 被害者の顔と刺激的な言葉を組み合わせた画像
✓ 実際の事件現場と誤解させる合成画像
✓ 関係のない人物を犯人のように見せる画像
✓ AI画像を実際の事件写真のように見せる表現

参考:サムネイルに関するポリシー|YouTube公式ヘルプ

サムネイルの役割や、動画の内容と一致させる必要性については、関連記事でも紹介しています。

関連記事:YouTubeサムネイルはなぜ重要?役割・作り方・注意点を解説

公開できても収益化できるとは限らない

コミュニティガイドラインに違反せず、動画を公開できる場合でも、広告を掲載できるとは限りません。

暴力、死亡、事故、負傷などを扱う動画は、映像の内容、表示時間、説明の有無などによって、広告が制限される可能性があります。

収益化を予定している場合は、コミュニティガイドラインだけでなく、広告掲載に適したコンテンツのガイドラインも確認しましょう。

参考:広告掲載に適したコンテンツのガイドライン|YouTube公式ヘルプ

YouTubeの規定は変更されることがあります。動画の制作時だけでなく、公開直前にも最新の公式情報を確認しましょう。

8.AIによる再現映像・画像・音声を使用するときの注意点

歴史上の風景や、記録映像が残っていない場面を伝えるために、AIで画像、映像、音声を作成する方法があります。

AIによる再現は動画を分かりやすくする一方で、実際に撮影・録音された資料だと誤解される可能性があります。

実在する人物や事件を扱う場合は、AIで作成したことが視聴者に伝わるようにしましょう。

実際の記録映像と誤解させない

AIで作成した映像や画像を使用する場合は、画面上の表示やナレーションで、再現であることを説明します。

✓ AIによる再現画像
✓ AIを使用したイメージ映像
✓ 当時の記録をもとに作成した再現
✓ 実際の事件現場を撮影した映像ではありません
✓ 人物の外見や場面はイメージです

動画の冒頭で一度だけ説明するのではなく、再現画像が表示される場面にも「AIによる再現」などのテロップを入れると、実際の資料と区別しやすくなります。

AI画像に古い写真のような加工を加える場合は、特に注意が必要です。色や画質だけでは本物の資料と区別できない可能性があるため、表示によって明確に伝えましょう。

確認できない場面をAIで補わない

AIは、指示した内容に合わせて、実際には記録されていない服装、建物、人物、道具などを描くことがあります。

✓ 当時は存在しなかった建物が描かれている
✓ 時代に合わない服装や髪形になっている
✓ 人物の年齢や外見が異なっている
✓ 実際とは異なる場所が事件現場として描かれている
✓ 記録にない人物が追加されている
✓ 凶器や犯行方法が事実と異なっている

詳しい記録がない場面について、AIが作成した内容を事実のように見せないようにします。

再現するための根拠が不足している場合は、無理に映像を作らず、地図、年表、テロップ、ナレーションなどで説明する方法も検討しましょう。

実在する人物の顔や声を勝手に再現しない

AIを使用すると、実在する人物に似た顔や声を作成できる場合があります。

しかし、本人の許可なく顔や声を再現すると、本人が実際にはしていない発言や行動をしたように見える可能性があります。

✓ 本人が話していない文章を本人の声で読ませる
✓ 実際には存在しない映像へ本人の顔を合成する
✓ 関係のない人物を容疑者のように見せる
✓ 被害者の表情や感情をAIで作成する
✓ 遺族の発言をAI音声で再現する
✓ 実在するニュース映像のように加工する

故人を再現する場合も、自由に顔や声を使用できるとは限りません。遺族への配慮や、元にした写真・音声の権利、使用するAIサービスの利用条件などを確認します。

YouTubeでAI使用の開示が必要か確認する

YouTubeでは、現実の映像のように見える、AIで生成または大幅に改変されたコンテンツについて、投稿時に開示が必要になる場合があります。

例えば、次のような表現が該当する可能性があります。

✓ 実在する人物がしていない発言をしているように見せる
✓ 実際の事件現場とは異なる映像を本物のように見せる
✓ 発生していない出来事を現実の映像のように作る
✓ 実在する人物の顔や声をAIで変更する
✓ 実際のニュース映像に見える再現動画を作る

動画内で「AIによる再現」と表示することに加えて、YouTubeへアップロードする際の設定も確認しましょう。

参考:生成AIコンテンツの使用に関する開示|YouTube公式ヘルプ

使用するAIサービスの利用条件を確認する

AIで画像、動画、音声を作成できても、すべてのサービスで商用利用やYouTubeへの投稿が認められているとは限りません。

✓ 商用利用が可能か
✓ YouTubeで使用できるか
✓ 収益化した動画で使用できるか
✓ クレジット表記が必要か
✓ 無料版と有料版で条件が異ならないか
✓ 作成したデータを広告へ使用できるか
✓ 入力した写真や音声がどのように扱われるか

実在する人物の顔写真、未公開資料、被害者や遺族の個人情報などを、許可なくAIサービスへ入力しないようにしましょう。

AIで作成した内容も公開前に確認する

AI画像や再現映像を作成した後は、画面の見た目だけでなく、歴史的な内容や人物への配慮も確認します。

✓ 時代や場所に合っているか
✓ 事実と異なる場面になっていないか
✓ 実在する人物に似すぎていないか
✓ 被害者を傷つける表現になっていないか
✓ 暴力や流血を必要以上に強調していないか
✓ AIによる再現であることが伝わるか
✓ YouTubeの開示設定が必要か

AIを使用したことを隠すのではなく、どの部分に使用したかを明確にすることで、視聴者が実際の資料と再現表現を区別しやすくなります。

9.ナレーション・BGM・テロップ・サムネイルの作り方

歴史・事件系動画では、同じ情報を伝えていても、ナレーション、BGM、テロップなどの演出によって、視聴者が受ける印象が変わります。

重い題材を必要以上に怖く見せたり、事件を娯楽のように感じさせたりしないよう、内容に合った演出を選びましょう。

落ち着いたナレーションで伝える

歴史や事件の経緯を説明するナレーションでは、聞き取りやすさと正確さを重視します。

✓ 話す速度を速くしすぎない
✓ 人名・地名・年代を正しく読む
✓ 重要な箇所では適切に間を取る
✓ 感情を込めすぎない
✓ 被害の様子を興奮した口調で読まない
✓ 推測と確認できた事実で言い方を変える

事件を扱う動画で、過度に暗い声や恐怖をあおる話し方を使用すると、内容が事実の解説ではなく、怪談や娯楽のように聞こえる場合があります。

一方で、最初から最後まで同じ調子で読むと、重要な部分が伝わりにくくなります。落ち着きを保ちながら、文章の区切りや強調する言葉を調整しましょう。

専門用語、外国人名、古い地名などは、収録前に読み方を確認します。読み方に複数の説がある場合は、どの読み方を採用したか台本に記録しておくと、動画内で統一できます。

ナレーションを外部へ依頼するときの準備や、声質・話し方を指定する方法については、関連記事でも紹介しています。

関連記事:動画ナレーションを外注する方法|依頼先の選び方・料金・注意点を解説

BGMで恐怖や悲しみを強調しすぎない

BGMは動画全体の雰囲気を作りますが、選び方によって事件の印象を必要以上に変えてしまう可能性があります。

✓ 不安をあおる音を長時間使用しない
✓ 被害者の紹介で悲しい音楽を過度に重ねない
✓ 容疑者の登場時に悪人を示すような音を入れない
✓ 事件発生の場面で大きな衝撃音を使用しない
✓ 明るすぎる音楽で被害を軽く見せない
✓ ナレーションを邪魔する音量にしない

特に、裁判中の事件や有罪判決が確定していない人物を扱う場合は、BGMによって犯人だと決めつけるような印象を与えないようにしましょう。

BGMを入れず、ナレーションと必要最低限の環境音だけで構成する方法もあります。

使用するBGMや効果音については、YouTubeへの投稿、商用利用、収益化が認められているか確認します。素材サイトからダウンロードできることと、すべての用途で自由に使えることは同じではありません。

効果音を必要以上に加えない

ドアを開ける音、サイレン、銃声、悲鳴などの効果音を加えると、視聴者が実際に録音された音だと誤解する場合があります。

✓ 実際の音声なのか効果音なのか
✓ 事件の説明に必要な音なのか
✓ 被害を過度に再現していないか
✓ 視聴者を驚かせることが目的になっていないか
✓ 関係者への配慮を欠いていないか

実際の記録ではない音を使用する場合は、必要に応じて再現であることを伝えましょう。

日時の切り替わり、資料の変更、章の区切りなど、情報整理のために短い効果音を使用する方法もあります。

テロップで事実関係を整理する

歴史・事件系動画では、人名、年代、地名、裁判の経過など、多くの情報が登場します。

重要な情報をテロップで表示すると、視聴者が内容を理解しやすくなります。

✓ 出来事が起きた年月日
✓ 当時の地名と現在の地名
✓ 人物の立場や肩書
✓ 逮捕・起訴・判決などの状況
✓ 引用した文章の出典
✓ 再現映像やAI画像であること
✓ 情報を確認した時点

ただし、画面に表示する文字が多すぎると、映像や資料を確認しにくくなります。詳しい出典や参考資料は概要欄へまとめ、動画内では理解に必要な情報へ絞りましょう。

「犯人」「黒幕」などの断定的な言葉は、判決や根拠を確認せずに使用しないようにします。

色による印象にも注意する

赤、黒、暗い紫などは、危険や恐怖を強く感じさせる色です。

事件の内容に合わせて使用する場合も、画面全体を暗くしたり、血液を連想させる赤色を多用したりすると、刺激の強い印象になる可能性があります。

✓ 本文は白や明るい色で読みやすくする
✓ 赤色は注意箇所など必要な部分に限定する
✓ 被害者名を赤色で強調しない
✓ 容疑者と被害者を善悪の色だけで分けない
✓ 背景と文字の明暗差を確保する
✓ 色だけで情報を区別しない

資料の年代、人物の立場、確認できた事実と推測などを分ける場合は、色だけでなく、見出しや記号も併用しましょう。

サムネイルとタイトルを内容に合わせる

事件系動画では、再生回数を増やすために刺激的なタイトルやサムネイルを使用したくなることがあります。

しかし、実際の内容よりも大げさに見せると、視聴者へ誤解を与えたり、関係者を傷つけたりする可能性があります。

✓ 「真相」「黒幕」などを根拠なく使用しない
✓ 未解決事件を解決したように見せない
✓ 関係のない人物の顔を使用しない
✓ AI画像を実際の事件写真のように見せない
✓ 被害者の顔写真を見世物のように扱わない
✓ 実際には扱っていない情報をタイトルへ入れない

恐怖や衝撃だけに頼らず、動画で扱う時代、出来事、確認する内容が伝わるタイトルとサムネイルにしましょう。

10.公開後も情報が変わっていないか確認する

歴史・事件系動画は、公開した時点で制作が完全に終わるとは限りません。

新しい資料の発見、研究結果の発表、報道内容の訂正、裁判の進行などにより、公開時には正しかった情報が変わる可能性があります。

特に、裁判中の事件や現在も調査・研究が続いている出来事については、公開後も情報を確認しましょう。

情報を確認した時点を明記する

変化する可能性がある情報を扱う場合は、いつ確認した内容なのかを動画内や概要欄へ記載します。

✓ 2026年8月時点の情報です
✓ 2026年8月27日時点で判決は確定していません
✓ 公開されている資料をもとに制作しています
✓ 今後、新たな情報が発表される可能性があります
✓ 研究者の間で見解が分かれている内容を含みます

「現在」「最近」「現時点」とだけ書くと、後から見た人には基準となる日が分かりません。年月や年月日を具体的に記載しましょう。

公開日と、情報を最後に確認した日は分けて管理します。

更新される可能性が高い情報を整理する

歴史・事件系動画では、次のような情報が変わる可能性があります。

✓ 捜査の進行状況
✓ 逮捕・起訴・不起訴の判断
✓ 裁判の判決
✓ 控訴・上告・再審の状況
✓ 容疑者・被告人などの呼び方
✓ 被害人数や被害状況
✓ 報道機関による記事の訂正
✓ 新しく発見された歴史資料
✓ 遺跡や文化財の調査結果
✓ 人物や出来事に対する研究上の評価

公開時に確認した項目を一覧にしておくと、後から変更点を探しやすくなります。

内容に応じて確認する時期を決める

すべての動画を毎月確認する必要はありません。情報が変わる可能性に応じて、確認する頻度を決めましょう。

裁判中や捜査中の事件は、判決や公式発表があったときに確認します。

研究が続いている歴史上の出来事は、新しい資料や研究成果が発表されたときや、記事・動画の定期見直し時に確認します。

✓ 公開から1か月後
✓ 裁判の予定日や判決後
✓ 半年ごとの見直し
✓ 1年ごとの見直し
✓ 関係機関から新しい発表があったとき
✓ 視聴者から誤りを指摘されたとき

確認予定日をカレンダーや管理表へ記録しておくと、見直しを忘れにくくなります。

情報が変わった場合は内容に合わせて対応する

公開後に情報の変更や誤りが見つかった場合は、内容の重要度に合わせて対応します。

軽い誤字や読み間違いで、内容の意味が変わらない場合は、概要欄で補足する方法があります。

判決、人物、年代、被害状況など、動画の理解に関わる情報が変わった場合は、概要欄だけでなく固定コメントでも知らせましょう。

✓ 概要欄へ訂正内容と日付を追記する
✓ 固定コメントで変更点を知らせる
✓ 該当部分を編集できる場合は修正する
✓ 訂正動画や追補動画を公開する
✓ 大きな誤りがある場合は公開停止や再制作を検討する
✓ SNSで動画を紹介している場合は、そちらでも訂正する

訂正前の文章を消すだけでは、何が変わったのか分かりません。

「2026年9月10日追記:動画公開後に〇〇が発表されたため、概要欄へ情報を追加しました」のように、訂正日と変更内容を記録しましょう。

視聴者から指摘を受けた場合も確認する

コメント欄や問い合わせから誤りを指摘された場合は、すぐに正しいと決めつけたり、反対に削除したりせず、根拠を確認します。

✓ 指摘された内容の出典を確認する
✓ 公的機関や一次資料を確認する
✓ 公開時に使用した資料と比較する
✓ 資料の更新日を確認する
✓ 異なる説の一つではないか確認する

指摘が正しかった場合は、できるだけ早く訂正します。

複数の説がある内容については、元の説明を誤りと決めつけるのではなく、「別の見解があることを追記する」方法もあります。

制作時の資料と編集データを保管する

公開後の修正に備え、台本、参考資料、使用許諾の記録、編集データなどを保管しましょう。

✓ 最終版の台本
✓ 参考にしたページのURL
✓ 資料名・著者名・発行年
✓ 情報を確認した日
✓ 写真や映像の利用条件
✓ 権利者から得た許諾の記録
✓ ナレーションの音声データ
✓ 動画編集のプロジェクトファイル
✓ 完成動画

資料と編集データが残っていれば、情報が変わった際に、該当部分を確認して修正しやすくなります。

歴史・事件系動画は、公開時点の正確さだけでなく、公開後に訂正できる状態を整えておくことも大切です。

11.歴史・事件系動画を公開する前の確認項目

歴史・事件系動画を公開する前に、情報、権利、表現、YouTubeのルールを確認しましょう。

制作者だけで判断せず、可能であれば別の担当者にも動画と台本を確認してもらいます。

情報の確認

✓ 人名・地名・年代に誤りがない
✓ 事件の発生日と報道日を混同していない
✓ 複数の信頼できる資料を確認している
✓ 公的機関や一次資料に近い情報を確認している
✓ 事実と推測を分けて説明している
✓ 異なる説がある場合は断定していない
✓ AIが回答した内容を別の資料で確認している
✓ AIが示した出典が実在する
✓ 古い報道内容が訂正されていない
✓ 情報を確認した日を記録している

事件と裁判に関する確認

✓ 逮捕・起訴・判決を混同していない
✓ 有罪判決が確定しているか確認している
✓ 容疑者・被告人などの呼び方が適切である
✓ 控訴・上告・再審の状況を確認している
✓ 公開後に状況が変わる可能性を記載している
✓ 未確認の人物を犯人と決めつけていない

著作権と使用許諾の確認

✓ 写真・新聞記事・映像の権利者を確認している
✓ 出典を書くだけで使用できると判断していない
✓ 引用する必要性と範囲を確認している
✓ 自分の説明と引用部分を明確に分けている
✓ 引用元を正確に記載している
✓ デジタルアーカイブの二次利用条件を確認している
✓ 素材サイトの商用利用・収益化条件を確認している
✓ 必要な素材について権利者から許諾を得ている
✓ 許諾された媒体・期間・加工範囲を確認している
✓ 許諾に関するメールや書面を保管している

個人情報と関係者への配慮

✓ 実名を出す必要性を確認している
✓ 被害者や遺族の情報を必要以上に掲載していない
✓ 住所、学校、勤務先などから人物を特定できない
✓ 表札、車のナンバー、住宅の外観を確認している
✓ 未成年者の情報を慎重に扱っている
✓ 被害者にも責任があるような表現になっていない
✓ 遺族や関係者の気持ちを推測で作っていない
✓ SNSのうわさを事実として使用していない
✓ 同姓同名の別人と混同していない
✓ 現在の居住者や家族へ影響を与えない

AIによる再現表現の確認

✓ AI画像・映像であることを表示している
✓ 実際の記録映像と誤解させない
✓ 時代や場所に合わないものが描かれていない
✓ 確認できない場面を事実のように再現していない
✓ 実在する人物の顔や声を無断で再現していない
✓ 被害者の苦痛や表情を想像で作っていない
✓ 使用したAIサービスの利用条件を確認している
✓ YouTubeでAI使用の開示が必要か確認している
✓ 個人情報や未公開資料をAIへ入力していない

演出とYouTubeのルールに関する確認

✓ 暴力や流血を必要以上に強調していない
✓ 遺体・負傷者の映像を安易に使用していない
✓ 犯行の場面を繰り返し再生していない
✓ BGMや効果音で恐怖をあおっていない
✓ ナレーションが事件を面白がる口調になっていない
✓ タイトルやサムネイルが内容と一致している
✓ 被害者の顔写真を刺激的な言葉と組み合わせていない
✓ 教育・記録としての背景を動画内で説明している
✓ YouTubeの最新のコミュニティガイドラインを確認している
✓ 年齢制限や収益化制限の可能性を確認している

公開後の管理に関する確認

✓ 概要欄へ参考資料を記載している
✓ 情報を確認した年月日を記載している
✓ コメント欄を確認できる体制がある
✓ 誹謗中傷や個人情報を含むコメントへ対応できる
✓ 情報を見直す時期を決めている
✓ 訂正が必要になった場合の対応方法を決めている
✓ 台本・資料・許諾記録・編集データを保管している

すべての項目が、すべての動画に当てはまるわけではありません。扱う時代、事件、資料、公開目的に合わせて、必要な項目を確認しましょう。

💡編集者のワンポイント
歴史・事件系動画では、映像を完成させることだけでなく、何を根拠に制作したのかを後から確認できる状態にしておくことが重要です。参考資料、確認日、使用許諾の記録を動画ごとにまとめておけば、情報の更新や問い合わせにも対応しやすくなります。判断が難しい権利や表現については、公開前に専門家へ相談することも検討しましょう。

まとめ

歴史・事件系動画では、視聴者に分かりやすく伝えることだけでなく、情報の正確性、著作権、個人情報、被害者や遺族への配慮が必要です。

年代、人物名、事件の経緯、裁判の状況などは、一つのWebサイトやAIの回答だけで判断せず、公的機関や信頼できる資料を使って確認しましょう。確認できた事実と、研究者の見解や制作者の推測を分けて伝えることも大切です。

参考ページのリンクを概要欄へ掲載するだけであれば、原則として個別の許諾は必要ありません。一方、新聞記事、写真、ニュース映像、書籍のページなどを動画内で使用する場合は、出典を記載するだけでは不十分です。利用条件、引用の範囲、権利者からの許諾が必要かを確認します。

AIで再現映像、画像、音声を作成する場合は、実際の資料と誤解されないよう、「AIによる再現」などの表示を入れましょう。実在する人物の顔や声を無断で再現したり、記録にない場面を事実のように見せたりしないことも重要です。

また、公開時には正しかった内容も、新しい資料の発見、研究の進展、裁判の判決や再審などによって変わる可能性があります。情報を確認した日を記録し、必要に応じて概要欄、固定コメント、追補動画などで訂正できる状態を整えておきましょう。

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