1/fゆらぎの声とは?心地よく聞こえる理由とナレーションへの効果

1/fゆらぎとは、規則性と不規則性が程よく混ざった変化のことです。声に1/fゆらぎが含まれると、なぜ心地よく聞こえるのでしょうか。女性スタッフによる声診断の結果を紹介しながら、1/fゆらぎの仕組みや期待される効果、ナレーションとの関係、診断結果を見るときの注意点を解説します。

COLUMN

1/fゆらぎの声とは?心地よく聞こえる理由とナレーションへの効果

1/fゆらぎとは、規則性と不規則性が程よく混ざった変化のことです。声に1/fゆらぎが含まれると、なぜ心地よく聞こえるのでしょうか。女性スタッフによる声診断の結果を紹介しながら、1/fゆらぎの仕組みや期待される効果、ナレーションとの関係、診断結果を見るときの注意点を解説します。

森の中の透き通った小川と女性で表現した1/fゆらぎの声


「聞いていると落ち着く」「ずっと聞いていたくなる」と感じる声には、どのような特徴があるのでしょうか。 

心地よい声について調べると、目にすることがある言葉が「1/fゆらぎ」です。

1/fゆらぎは、小川のせせらぎや波の音、木漏れ日など、自然界のさまざまな現象に見られるといわれています。また、音楽や人の声を対象とした研究も行われています。

今回、ナレーションを担当することがある女性スタッフが、「1/fゆらぎ声診断ツール」を使って声を測定しました。

明るく元気な話し方と、落ち着いた静かな話し方の両方で試したところ、どちらもほぼ同じ結果となり、「Aランク・71点・1/fゆらぎが検出」と判定されました。

A値は「1.02」です。この診断ツールでは、A値が1に近ければ近いほど、声の変化が1/fゆらぎに近いことを示します。

話し方の雰囲気を変えても、結果がほとんど変わらなかったのはなぜなのでしょうか。

この記事では、1/fゆらぎの意味や声に見られる特徴、期待される効果、ナレーションとの関係について解説します。

この記事で分かること

✓1/fゆらぎとは何か
✓規則的な音や不規則な音との違い
✓声に1/fゆらぎが含まれる仕組み
✓1/fゆらぎの声に期待される効果
✓声診断ツールの結果を見るときの注意点
✓心地よいナレーションを制作するポイント

目次

  • 1.1/fゆらぎとは
  • 2.規則的な音・不規則な音との違い
  • 3.自然界に見られる1/fゆらぎ
  • 4.声にも1/fゆらぎはあるのか
  • 5.1/fゆらぎの声に期待される効果
  • 6.ナレーションと1/fゆらぎの関係
  • 7.1/fゆらぎ声診断ツールで測定した結果
  • 8.診断結果を見るときの注意点
  • 9.心地よいナレーションを制作するポイント
  • 10.まとめ

1.1/fゆらぎとは

1/fゆらぎとは、規則性と不規則性が程よく組み合わさった変化のことです。

「f」は周波数を表します。変化の頻度が高くなるほど、その変化の強さが反比例して小さくなる性質を「1/f」と表しています。

しかし、数式だけではイメージしにくいかもしれません。

1/fゆらぎは、完全に一定な状態でも、予測できないほどばらばらな状態でもありません。

ある程度の規則性を持ちながら、同じ変化が機械的に繰り返されないことが特徴です。

たとえば、小川の水は一定の方向へ流れていますが、水音や水面の動きが一秒ごとにまったく同じになるわけではありません。

大きな流れには規則性があり、その中に細かな不規則性があります。このような「規則的すぎず、不規則すぎない変化」が1/fゆらぎを理解する一つの手がかりです。

2.規則的な音・不規則な音との違い

音の変化は、大きく分けると次のように考えられます。

規則的な音

一定の間隔や強さで繰り返される音です。

時計の秒針や機械の動作音のように、次の変化を予測しやすい特徴があります。

規則性が高すぎる音は、単調に感じられる場合があります。

不規則な音

変化の仕方を予測することが難しく、まとまりが少ない音です。

音の高さや強さ、間隔がばらばらに変わると、聞き手が落ち着きにくい場合があります。

1/fゆらぎに近い音

規則性を保ちながら、細かな変化が加わっている音です。

完全に同じ音を繰り返さないため単調になりにくく、かといって変化が激しすぎるわけでもありません。

この程よい変化が、自然さや心地よさにつながる可能性があると考えられています。

3.自然界に見られる1/fゆらぎ

1/fゆらぎは、自然界のさまざまな現象との関係が紹介されています。

代表的な例として挙げられるのは、次のようなものです。

✓小川のせせらぎ
✓波の音
✓雨音
✓風に揺れる木の葉
✓木漏れ日の変化
✓炎の揺れ
✓鳥のさえずり

ただし、すべての小川や波、雨音が常に完全な1/fの性質を持っていると断定できるわけではありません。

音を録音する場所、風の強さ、水量、周囲の雑音、測定方法などによって分析結果は変わります。

自然音であることと、1/fゆらぎが検出されることは、分けて考える必要があります。

それでも、小川の流れや木の葉の揺れに見られる「一定ではないものの、まったくばらばらでもない変化」は、1/fゆらぎを直感的に理解しやすい例です。

4.声にも1/fゆらぎはあるのか

人の声にも、さまざまな時間的変化があります。

✓声の高さ
✓音量の強弱
✓話す速さ
✓言葉と言葉の間
✓語尾の収め方
✓息の混ざり方
✓アクセントや抑揚

人は、文章を最初から最後までまったく同じ高さや音量では読みません。

伝えたい内容に合わせて声を高くしたり、重要な言葉を強く発音したり、文章の区切りで間を取ったりします。

このような声の変化を時間の流れに沿って分析すると、1/fに近い傾向が見つかる場合があります。

1975年に学術誌「Nature」へ掲載された研究では、音楽と話し声の音量変化などに1/fに近いパワースペクトルが見られることが報告されました。

参考:「1/f noise」in music and speech|Nature

ただし、声のどの要素をどのような方法で分析するかによって、結果は異なります。

「その人の声質そのものに1/fゆらぎがある」と表現されることもありますが、実際には声の高さ、音量、リズムなどの時間的な変化を分析している場合があります。

そのため、測定結果を見るときは、ツールが声の何を分析しているのか確認することが大切です。

💡編集者のワンポイント
1/fゆらぎは、単に「低くて静かな声」を指すものではありません。明るく元気な声でも、声の高さや音量、間の取り方に自然な変化が含まれていれば、1/fに近い傾向が検出される可能性があります。

5.1/fゆらぎの声に期待される効果

1/fゆらぎが含まれる声は、聞き手に心地よさや安心感を与えると紹介されることがあります。

考えられる理由の一つが、単調すぎず、変化が激しすぎないことです。

声に自然な強弱や抑揚があると、聞き手は内容を追いやすくなります。また、適切な間が入ることで、情報を理解する時間も生まれます。

その結果、次のような印象につながる可能性があります。

✓落ち着いて聞こえる
✓親しみやすく感じる
✓自然な話し方に聞こえる
✓長時間でも聞き続けやすい
✓話の内容に集中しやすい
✓安心感を持ちやすい

ただし、「1/fゆらぎがある声を聞けば、誰でも必ずリラックスできる」と断定することはできません。

声の好みは、聞き手の年齢、経験、体調、言語、話し手との関係、動画の内容などによって変わります。

また、音声信号の印象は、1/fへの近さだけで決まるものではないことを示す研究もあります。

参考:音声信号のゆらぎ値算出随伴量と感性的印象との関係|日本感性工学会

関連記事:ASMR動画の作り方|撮影・録音のコツと失敗を防ぐ注意点

6.ナレーションと1/fゆらぎの関係

ナレーションは、映像の内容や目的に合わせて情報を伝える役割を持っています。

声に自然な抑揚や間があれば、視聴者は映像と音声の両方を受け取りやすくなります。

1/fに近い自然な変化を持つ声は、次のような動画で生かせる可能性があります。

企業・施設紹介動画

企業の理念や施設の特徴を伝える動画では、信頼感と聞き取りやすさが求められます。

落ち着いた声の中に自然な抑揚があると、堅すぎず、親しみのある印象を与えやすくなります。

観光・地域紹介動画

自然、景色、温泉、伝統文化などを紹介する動画では、映像の雰囲気と調和する語り方が重要です。

ゆったりとした間や穏やかな声の変化を取り入れることで、視聴者が映像の世界へ入り込みやすくなります。

商品・サービス紹介動画

商品説明では、心地よさだけでなく、情報の分かりやすさが必要です。

商品名、金額、数字、注意事項などは明瞭に発音し、重要な部分では声の強さや速度を調整します。

朗読・ドキュメンタリー

長時間聞くことの多い朗読やドキュメンタリーでは、単調さを防ぐために自然な変化が欠かせません。

場面や登場人物の感情に合わせて、声の高さ、速さ、間を変えることで、内容が伝わりやすくなります。

リラクゼーション動画

睡眠、瞑想、自然音などを扱う動画では、急激な音量変化を避け、穏やかなテンポで話すことが大切です。

声だけでなく、BGMや環境音とのバランスも整えましょう。

7.1/fゆらぎ声診断ツールで測定した結果

今回、ナレーションを担当することがある女性スタッフの声を、「1/fゆらぎ声診断ツール」で測定しました。

表示された主な結果は次のとおりです。

✓ランク:A
✓スコア:71点/100点
✓判定:1/fゆらぎが検出
✓A値:1.02
✓R²:0.31
✓録音時間:8.8秒

使用した診断ツールでは、A値が1に近ければ近いほど、分析した声の変化が1/fゆらぎに近いと判定されます。

今回のA値は1.02だったため、数値上は1に非常に近い結果です。

興味深かったのは、明るく元気な声と、落ち着いた静かな声の両方で測定しても、結果がほとんど変わらなかったことです。

このことから、声の明るさや静かさだけでなく、次のような話し方の特徴が結果へ影響した可能性があります。

✓声の高さの自然な変化
✓音量の強弱
✓話すテンポ
✓語尾の変化
✓言葉と言葉の間
✓息の使い方

つまり、1/fゆらぎが検出されるのは、必ずしも「静かな癒やし声」に限らないと考えられます。

参考:1/fゆらぎ声診断ツール

8.診断結果を見るときの注意点

声診断ツールは、自分の話し方を知るきっかけとして楽しめるものです。

ただし、表示された点数やランクを見るときには、いくつか注意したい点があります。

ツール独自の判定である

Aランクや71点という結果は、使用した診断ツールが設定している基準によるものです。

医学的な診断や、ナレーターとしての能力を証明する数値ではありません。

点数が高いから必ずよい声、低いから聞きにくい声というわけでもありません。

A値だけで判断しない

A値が1に近いことは、分析された変化が1/fに近いことを示す一つの目安です。

一方、R²は一般的に、分析したデータが想定された関係へどの程度当てはまるかを表す指標として使用されます。

ただし、具体的な計算方法や採点基準はツールによって異なります。各数値の意味は、使用したツールの説明に沿って確認する必要があります。

録音条件によって結果が変わる

測定結果は、次のような条件の影響を受ける可能性があります。

✓録音する文章
✓録音時間
✓マイクとの距離
✓部屋の反響
✓周囲の雑音
✓声の大きさ
✓話す速度
✓スマートフォンやパソコンのマイク性能

比較する場合は、同じ文章、同じ場所、同じ機器、同程度の録音時間で試すと違いを確認しやすくなります。

1回の測定で声の特徴を断定しない

人の声は、体調や時間帯、緊張、感情によっても変わります。

短時間の測定結果だけで、「どのような文章を読んでも必ず1/fゆらぎになる声」と判断することはできません。

話し方や文章を変えながら複数回測定し、結果の傾向を見ることが大切です。

9.心地よいナレーションを制作するポイント

1/fゆらぎが検出されたとしても、それだけで動画に適したナレーションが完成するわけではありません。

ナレーションでは、声の印象とともに、情報が正しく伝わることが重要です。

動画の目的に合わせて話し方を変える

観光動画では穏やかに、商品の広告では明るく、操作説明では落ち着いて明瞭に話すなど、動画の目的に合わせて声を調整します。

心地よい声であっても、映像の内容と合っていなければ違和感が生まれます。

文章を短く区切る

一文が長すぎると、話し手は息継ぎが難しくなり、聞き手も内容を理解しにくくなります。

ナレーション原稿は、声に出して読むことを前提に作成しましょう。

適切な間を取る

文章を休まず読み続けると、重要な情報が埋もれてしまいます。

場面の切り替わりや伝えたい言葉の前後に間を入れると、聞き手が内容を整理しやすくなります。

抑揚をつけすぎない

抑揚がまったくないと単調になりますが、大きく変化させすぎると不自然に聞こえる場合があります。

内容に合わせて、声の高さや強さを自然に変えることが大切です。

発音と聞き取りやすさを優先する

会社名、商品名、人名、地名、数字などは、特に明瞭に発音します。

1/fゆらぎに近い声であっても、言葉が聞き取れなければ、ナレーションの役割を十分に果たせません。

録音環境を整える

エアコン、換気扇、車、パソコンのファンなどの音は、録音へ入り込むことがあります。

できるだけ静かな場所で録音し、マイクとの距離を一定に保ちましょう。

声の自然な変化を生かすためには、録音後にノイズ除去や音量調整を行うことも重要です。

関連記事:動画ナレーションを外注する方法

まとめ

1/fゆらぎとは、規則性と不規則性が程よく組み合わさった変化のことです。

小川のせせらぎや波、木漏れ日など、自然界の現象と関連づけて紹介されることが多く、音楽や話し声の変化を対象とした研究も行われています。

今回、ナレーションを担当することがある女性スタッフの声を診断したところ、明るく元気な話し方と落ち着いた静かな話し方の両方で、「Aランク・71点・1/fゆらぎが検出」というほぼ同じ結果になりました。

A値は1.02で、使用したツールでは、1に近いほど1/fゆらぎに近いと判断されます。

ただし、診断結果は録音環境や話す文章、分析方法によって変わります。また、1/fゆらぎが検出されたからといって、誰にでも必ず癒やし効果が生じるとは限りません。

心地よいナレーションには、声のゆらぎだけでなく、発音、速度、間、抑揚、原稿、録音環境、映像との相性も大切です。

株式会社インテックでは、企業紹介、商品・サービス紹介、観光、YouTube、SNSなどで使用する動画の制作・編集を承っています。ナレーションや字幕、テロップを含む動画制作についてお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

MOVIE CREATION

伝わる動画を、企業の力に。

株式会社インテックでは、YouTube・SNS動画・採用動画・企業紹介動画など、
お客様の目的に合わせた動画制作を行っています。
撮影済みの素材を活用した動画編集についても、お気軽にご相談ください。